1年目の御礼

船場ビスポークは2021年1月15日、正式に開店いたしました。
緊急事態宣言下でのオープンはやはり不安がありました。

でも、思いがけずたくさんの方に応援頂き、さまざまな形で助けて頂きました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

私はただスーツを売りたくてこのお店を始めた訳ではありません。
オーダースーツがかなり一般的になったと言っても、それはまだごく一部のこと。
大多数の人にとっては「自分には縁のないもの」だと思われています。
「贅沢な嗜好品」というイメージが根強い。

もちろんそういう側面が無いとは言いませんが、実は必要な人にもまだまだ届いていないように感じています。

例えば女性。
今年私が承った女性のお客様は26人ですが、今までオーダーしたことがある方は2人だけでした。
(オーダーシャツ、スーツ、コート全ての合計です。そのうち1人は私の以前からの顧客様)

皆さま、オーダーメイドなんて考えもしなかったといいます。

また、他にも既製服では合わない問題を抱えたお客様もいらっしゃいました。
それもたまたまお知り合いのご紹介だからお越し頂きましたが、「オーダースーツのお店に行くのは敷居が高くて考えられなかった」とのこと。

これはうちのような小さなお店のごく一例ですが、でもオーダーメイドを必要としている方にまだまだ届いていないのが実状ではないかと思っています。

「オーダーメイド」という方法を通じて、人の幸せに貢献できる可能性はまだたくさんあると思っています。

全てのものをオーダーにするのは不可能だし、全員に必要なわけでもありません。

ただ皆さんの選択肢に「オーダーメイド」がもっと普通になるといいなぁと思っています。

ものに溢れ、なんでも安くて、すぐに手に入り、使い捨てにする時代。

そんな時代にあって、オーダーメイドは真逆です。
価格も高いし、受注生産で手間もかかるし、期間もかかります。

でもだからこそ「自分のためだけにつくられた、愛着ある良いものを永く使う」というオーダーメイドの精神を、今また見直すべきなのではないでしょうか。

うちのような小さなお店でできることは小さなことです。
でもおひとりおひとりに向き合って、少しずつ少しずつこつこつと伝えていく。

そうして共感してくださる方が増えて、5年後、10年後、20年後…オーダーメイドを通じて幸せになる方が増えたら嬉しい。

サイズが合うのは当たり前。
オーダーメイドの価値はもっと深いところにある。
私はそう信じています。

2年目も精進してまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

船場ビスポーク
瀬島京子 拝