父から息子にオーダーメイドのお祝い

季節外れですが、先月お納めしたエルメネジルド・ゼニアのカシミアのチェスターコート。

これは蒔田様が、この春就職して東京に行かれるご子息にオーダーメイドのコートをプレゼントしたい、とご依頼頂いたものです。

忙しい合間を縫って、おふたりで時間を合わせてお越し頂いたのはオープン間も無い1月末でした。

スーツはもう何着かお待ちなので、コートをご依頼したいとお聞きしていました。コートオーダーの時期には少し遅めで品切れなども心配でしたので、前もって在庫状況など確認しつつ、おすすめをチェック。

そして当日。ウール、カシミア混、アンゴラ、ツイード、カシミアなど、さまざまな生地を見てもらいながらご説明。カジュアルな雰囲気が良いのか、よりフォーマルが良いのか、どんなシーンで着るのかなどお聞きしていきます。

お父様はまだ40代とお若いので、おふたり並ぶと親子というより年の離れた兄弟のよう。やりとりも軽快で、聞いていてとても楽しくなります。

最終的にお選び頂いたのは、一生ものとして永くお使い頂けそうなカシミアのネイビーのチェスターコートでした。

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ゼニアのカシミアですから、品質はもちろん間違いありません。裏地も同色の紺色、ボタンは黒水牛釦。どちらもゼニアのオリジナルで合わせました。

永く着て頂きたいという想いから、裏地もボタンもデザインも敢えてベーシックをおすすめさせて頂きました。5年後、10年後もずっと大切に着て頂きたい。むしろその頃の方がしっくり馴染んで似合うような、そんなコートに仕上がったと思います。

後日蒔田様から本当にありがたいメッセージを頂きましたので、ご了承のもとご紹介させて頂きます。

「僕の知らない世界を１日体験させて頂き有難うございます。彼もまた一つジェントルマンに近づく目標ができ、素敵な親子の時間を過ごせました。感謝申し上げます。」

「『コート届きました』と連絡がありました。凄くカッコいいと喜んでいました。有難うございます！感謝申し上げます。これから彼を支えるひとつの武器になると確信しました。出会いに感謝です。有難う御座いました。」

ここからは余談です。

蒔田様は実は西宮にある「鮨　まき田」の大将でいらっしゃいます。瀬島家のお祝いにはいつもこちらにお世話になっていて、昨年伺った時にたまたま私がお店をオープンする話になりました。

「じゃあ息子の就職祝いにオーダーに行くわ！」

まさかと思いました。大阪にも神戸にも有名店は山ほどあります。それなのに、ご子息のお祝いという大切なプレゼントを、オープンしたばかりの私にお願いする？

果たして有言実行、本当におふたりでお越し頂きました。つまり、これはご子息の就職祝いであり、私への開店祝いでもあったのです。

以前は割と近くに住んでいたのですが、8年前に転居してからは西宮から遠く1時間半位の場所になり、年に2〜3回伺うだけ。そんな私に、粋で男気あるエールを送ってくださった大将。お鮨の味が最高なのはもちろん、大将のお人柄も「まき田」に通う理由でしたが、ますますファンになったことは言うまでもありません。

この度は本当にありがとうございました。